(2011.9.13)
■アセスメントは永く忘れないプログラムである
アセスメント研修は最も速効的なプログラムである。
どれくらい速効的かと言えば、受講者が研修の翌日から行動が変わったと言うことをあとで聞くことが別段珍しくないからである。
速効性よりも定着性のほうがなお重要かもしれない。それもまた高い。5年10年、その時の印象を忘れない人もまた別段珍しくない。上述のように、プログラムがこの形になって20年になるが、20年近く前にアセスメントを受けた人と、「今でもあの時は・・・」と互いに頭を掻きながら話すこともまた、さして異例でもない。ある私のクライアント先の社長は、社長に就かれてから行ったことのひとつが、幹部社員に対するアセスメントの実施であった。自分が30年前に受けたアセスメントの印象が忘れられないでいた折り(さすがにその往時に私は現役ではなかったが)、拙著をお読み頂き、その心証をまた強く思い出され、招じられて実施となったのである。読者の皆様の会社では、きっと研修の効果はどうなのか、それをどうやって測るのか、とかまびすしいことかと思う。こうしたことであまり「科学的測定」を試みても、実は徒労である。しかし、受講後10年20年覚えている研修があるとしたら、そう言う論議自体にすぐさま終止符を打てるのではないか。そのくらいその気があれば、自分に対して気づくことに満ちあふれた研修である。
よく言われるように、このプログラムは、もともとは米軍で開発され、その後米国の大手企業で昇進試験として用いられてきた歴史を持っている。しかし、ただの試験で終えてしまっては誠に惜しい。と言うより、今となっては試験としては用いない方が、ずっとその効果は高いだろう。
そのすばらしい効果の真髄は、もちろん体験いただくことによってしか得られない。が、書き言葉で、そのさわりくらいは述べることはできるだろう。この原稿は、そのエッセンスを述べ、今後導入を検討する企業向けの案内を行うとともに、実際にアセスメント研修を受けた方々のマネジメントの復習と効果の一層の定着を兼ねたテキストとしたいと思っている。
なお言えば、最近は、そうした真髄をきちんと体現しないアセスメントの運用が増えてきたようにも感じる。そうした中途半端な運用では所期の効果がむろん大きく減じられるから、そうした側面への指摘も今回は併せて行いたい。アセスメントには、その運用上の新しい技術はどんどん取り入れるべきであるが(私はそれらをいろいろ工夫してきた)、その原理においては、エクセレントカンパニーの経営理念が、時代を超えて変化しないように、正真正銘のものを次世代に引き継いでゆくべきと思うからである。
次回以降本論に入りたい。